「小暑」となりました。暦では、「大暑来れる前なればなり」とあり、小暑以降、暑さが増していく時期にはいります。
日本の猛暑は、「クーラーは体に悪い」など言ってられないすさまじさ、熱中症予防に空調は欠かせません。
でも、せめても、お腹の中だけはほかほかのままで。
「冷たいものは取らない」
「温かいものをよくとる」
「お通じに気を付けて、軟便など冷えの症状があったらいっそう気を付ける」
なにより、
「汗はこまめにふき取り、濡れた状態で風に当たらない」など、防御してください。
2000年余も前に完成した中国医学の古典「素問」四気調神大論篇から、夏の養生を紹介します。
古典の解釈はひとそれぞれ。とも治療室流解釈でのご紹介です…
夏は、植物が新芽をだし、花が咲きほこるかのように、いのちは 生い茂り、勢いがもっとも盛んになる季節です。
この時期は天と地のエネルギーが大きく交わり流れるので、いのちは、その気を存分に受けて、咲き実ります。つまり、自己表現の時期ということ。冬にやしない、春に芽吹いた自分の力をぜひ発揮してください。
夏の養生は以下です
夏は夜更かしが楽な季節です。とはいっても、古代の「夜遅く」は、明かりも十分にないので、そもそも夜中なはずはありません。
日の出に起きれる時間から逆算してください。養生的には理想として、午後10時~午前2時までの睡眠が何より大事。できるひとはぜひ、確保してください。質が違います。
夜遅いお仕事でも せめて12時前には布団に入ること。
ちなみに、夜遅い食事は、野菜メイン具だくさん薄味噌汁をおすすめしてます。
その理由…脂肪とタンパク質は消化に時間とエネルギーが必要です。夜、しっかりと体を休めたいのに消化器が動いていては体は休まりません。自律神経にも負担です。おなかを大事に!
夜よく寝ることや消化機能を高め維持しておくことは、夏バテしない夏の養生のカギです。
涼しい朝を活用してください。能率がどんなに上がるか、すばらしいですよ。ぜひお試しを。
初夏のうちに、体を整えておくのがそのあとの過ごしやすさに響きます。今しっかりと準備してください。おつらいようなら早め早めに東洋医学的メンテナンスをおすすめします。こじらせてからでは、回復に二倍三倍の時間とエネルギーが必要になります。
実際に「夏だ~!」と感じるよりもずっとまえに、自然も体も、夏へと移行を始めています。
今から、夏の養生を始めておくとこの後がずっと楽です。
夏には「心」(しん)の働きが活性化します、季節の中で一番「陽」が強い夏は、体の中で最も陽が強い「心」の働きが強まるからです。
東洋医学的「心」は、西洋医学的な心臓の機能だけでなくて、精神活動もつかさどります。人体の働きや機能をふくんでいます、以下。
・血液循環 心臓、血管系
・精神活動
・睡眠
「心」が変調すると、熱っぽくイライラしたり、睡眠障害などの症状が現れます。
夏は知らず知らずに汗をかくので、水分補給が大事です。でも、がぶがぶ液体を飲むと、消化器に負担がかかります。
水分を取るなら体温以上のノンカフェインを一口ずつ。なにより、食材の細胞膜に含まれている形の水分が一番おすすめ。季節の食材を、さっぱり味で 適切に食べましょう。
シジミの味噌汁や、野菜たっぷりみそ汁はミネラルも多く本当に疲れが取れます。
夏とはいえ、気温変動が大きく、外気温がそれほど高くない、風邪にあたって冷える、クーラーで冷えるなど、「冷え」対策も同時に必要です。
マイルドに温めてくれる食材も適宜とりましょう。
薬膳では、一つの性質を使ったら、逆の性質のものもプラスする、というのを覚えておくと、味的にもおいしい料理ができます。
たとえば、ゴーヤなど、冷たくしてくれる食材には、こしょう、しょうが、鷹の爪、花椒など、温める食材もプラスするなど。
日本の夏は高温多湿。「湿邪」という、体内の余分な水分が、様々な症状を起こします。たとえば、余分な水分の代表、むくみ。さらには、疲れやすい、体が重だるいなど。
ソラマメ、枝豆などの豆類は、湿気をさばいてくれるうえ、胃腸の消化吸収能力を高め、余分な水分を排泄する という、夏にもってこいの食材。
緑豆もやしも、豆の性質を持っており、余分な水分を排出してくれます。安価なので、炒めもの、サラダ、汁や麺の具など、積極的に使いましょう。
トウモロコシは、胃腸の機能を補って夏バテを予防、改善します。ヒゲにも薬効があるので入手出来たらお茶にして飲みましょう。甘く香りが良くておいしいです。
薬膳を知りたい方へ、参考文献をご案内します。
中医学、東洋医学、薬膳、はたいへん奥が深く、歴史も長く、各流派により諸説あります。
どの本も、自分の体を観察しながら活用ください。
食品の説明は、本によってばらけています。
身につけるには、ネットで調べるのではなく お好きな本を1冊選んでお手元へ。著者の考え方が体にしみこみます。ソースがバラバラの情報より、手で触れる本のほうが、ずっと役に立ちます。
早乙女 孝子 の いつもの食材効能&レシピ帖―漢方の知恵を毎日の食卓に 食材338点レシピ151点
武鈴子著、からだに効く和の薬膳便利帳、一般社団法人家の光協会(2012)
仙頭正四郎監修、現代の食卓に生かす「食物性味表]、日本中医食養学会(2006)
あまりの猛暑に「生まれて初めてこんなに汗かいた!」と驚いた方も多かったこの夏。とうとう更年期か!とあせった妙齢の女性も多々。
ホットフラッシュ含め、多量の汗について、東洋医学では様々な観点から考えます。ホルモン変動だけでなく、原因を探っていきます。
ざっくりいって、さらっとして気持ちの良い汗ならOk。
べたついて不快な汗やあまりにも大量で疲れる汗、匂いの強いもの、皮膚が荒れてしまう汗は、要注意。それぞれの治療が必要かも。いろんな要素が絡んでいることがおおいです。
中国明代末期の名医、張景岳は、問診の重要な基礎を『十問歌』という形にして後世に残しました。
「一に寒熱、二に発汗…」とはじまります。
汗は熱(高熱、低体温、冷えエトセトラ)に次いで、二番目に重要なファクターなのです。
暑ければかく汗ですが、東洋医学(中国医学)で 「症状」と とらえるものもいくつかあります。
一般に よくみられる、「不足による汗」を 紹介しますね。
自汗(じかん):日中の発汗。動くと悪化するのが特徴。冷えや心身疲労がある方に多いです。エネルギー不足による汗です。じわーだらだらととまらない感じです。実際体は疲れているのですが、あまりに長期間にわたって疲労がたまると「疲れている」ことすらわからなくなってしまいます。じわーだらだらと、汗をかいて なんかずいぶん汗かきになったな、と 気づいたら 即 メンテナンスしてください。症状が、「やまい」になるまえにくいとめることができます。
盗汗(とうかん):睡眠中の発汗。目が覚めると止まります。顔が赤くてのぼせる方に多いです。体の中に当然あるべき温かさが少ないことによる汗です。シーツがびしょびしょになるくらい、かく場合もあります。
不足とはいっても、日常生活がなんとかおくれる程度であれば、「絶対的不足」ではなくて、「偏り」による不足が多いのです。
上記の症状にピンと来たり、どうもおかしいな?・・・・、 と感じたら、早目の治療をお勧めします。早期ほど、少ない治療回数で改善が見込めます。
とも治療室は「ここちよい身体のお手入れ」で、快適な毎日を送るお手伝いをしています。