胃腸の調子が悪い時は…

ご飯を美味しく食べる、は人生のだいご味の一つ。胃腸不調が長く続くとけっこうつらいものです。

東洋医学的にも一般的にも養生ポイントをまとめてみました。

胃腸不調=東洋医学的には 

胃腸の不調が続くとき、東洋医学では 「気・血・水」のバランスの乱れ五臓の働き に注目します。
もしかすると、こんな状態が影響しているのかもしれません。


脾胃の虚弱(ひいのきょじゃく)
 → 胃腸がもともと弱い、または疲れがたまって消化力が落ちている状態。
 → 油っこいものや冷たいもの、過食が負担になりやすい。

肝気犯胃(かんきはんい)
 → ストレスが胃腸に影響し、消化の働きを乱している。
 → 胃もたれや張り、げっぷが出やすい。

湿熱(しつねつ)がこもっている
 → 胃腸に余分な湿気や熱がたまり、食べたものをうまく処理できない状態。
 → 油っこいもの、甘いもの、アルコールで悪化しやすい。

寒邪(かんじゃ)の影響
 → 冷たいものの摂りすぎや、冷えによって胃腸の働きが鈍っている。
 → お腹を温めると調子がよくなることが多い。


肥疳厚膩過食(ひかんこうじかしょく)

胃腸の不調が続くとき、特に 「食べるもの」や「食べ方」 が影響していることがあります。東洋医学では、 「肥疳厚膩(ひかんこうじ)過食」 という考え方があります


「肥疳(ひかん)」 → 油っこいものや甘いもの
「厚膩(こうじ)」 → 濃厚で脂っこい食べもの
「過食(かしょく)」 → 食べすぎや消化しきれないものを摂ることで、消化機能が乱れる

特に、油っこい食事・甘いもの・味が濃いもの・加工食品/添加物が多く含まれる食品を摂りすぎると、胃腸に「湿(しつ)」や「熱(ねつ)」がこもりやすくなり、消化の力が弱まる とされ、以下のような症状が出ます


こんな症状があるかも

・胃もたれしやすい
・油っこいものを食べると気持ち悪くなる
・下痢や便秘を繰り返す
・口の中が粘つく、口臭が気になる
・舌に厚い白い苔がつく(※色はいろんなバージョンあり)


胃腸の調子が悪いときに、ちょっと気をつけるといいこと 

胃腸が疲れているときは、無理をせず、やさしく整えていくのが大切です。「これをやめなきゃ!」と気負うよりも、「ちょっと気をつけてみようかな」 くらいの気持ちで、できることから試してみてください。


避けたほうがいい食べもの

油っこいもの(揚げ物、こってりした料理)
→ 胃に負担がかかりやすく、消化に時間がかかります。

刺激の強いもの(辛いもの、酸味の強いもの、味が濃いもの)
→ 胃の粘膜を刺激しやすいので、調子が整うまでは様子を見ましょう。

冷たい飲みもの・食べもの(氷入りの飲み物、生野菜、アイスなど)
→ 胃腸の動きを弱めることがあるので、できるだけ常温や温かいものを選ぶと◎。

アルコールやカフェイン(お酒、コーヒー、エナジードリンクなど)
→ 胃酸が増えたり、胃を荒らすことがあるので、控えめにすると安心です。

甘いもの、加工食品(ケーキ、スナック菓子、カップラーメンなど)
→ 胃腸の負担になりやすいので、少しずつ控えてみるのもよいかもしれません。


ちょっと気をつけるといい習慣

夜遅くの食事を控える(寝る2時間前までに済ませるのが理想)
→ 胃腸がしっかり休める時間を作ると、消化がスムーズになります。

よく噛んで食べる・ゆっくり食べる・味わって食べる
→ 消化酵素がよく出るうえ、胃の負担を減らし、消化を助けてくれます。

食べすぎを避ける(「腹八分目」を意識)
→ 胃腸に余裕をもたせることで、回復しやすくなります。

ストレスをためすぎない(リラックスする時間を大切に)
→ 胃腸は気持ちとつながっています。深呼吸や好きなことをする時間も大事です。

温かいものをとる(スープ、おかゆ、ハーブティーなど)
→ 胃腸がほっとする食べ方を意識すると、自然と調子が整ってきます。


無理せず、できることから ゆっくりで大丈夫 

「全部守らなきゃ!」と思うと、かえってストレスになってしまうこともあります。
だからこそ、「今できることをちょっとだけ」 の気持ちで取り組んでみてください。

身体はちゃんと、自分に合うペースで回復しようとしています。
焦らず、やさしく、身体と対話しながら過ごしてみましょう。

気をつけておきたいサイン 

胃腸の不調は、たいていの場合は少しずつ整えていけば良くなるものですが、なかには「病院へGO!」サインもあります。次のような症状があるときは、早めに病院で相談してみてください。

受診を考えたほうがいい症状

体重がどんどん減る(制限していないのに減る)
→ 体が栄養をうまく吸収できていない可能性があります。

便の色が黒っぽい(タール状) or 血が混じっている等
→ 胃や腸のどこかで出血しているサインかもしれません。そのほか 粘液状など、様子のおかしい便

ずっと続く強い腹痛(特に夜間や食後すぐ)
→ 胃や腸、胆のうなどに炎症が起きている可能性も。

発熱を伴う腹痛や下痢
→ 体が感染症や炎症と戦っているかもしれません。

嘔吐。 特に色がおかしい嘔吐
→ 血液や、コーヒー色の嘔吐は胃や食道からの出血が疑われることがあります。

皮膚や白目が黄色くなった(黄疸)
→ 肝臓や胆のうのトラブルが隠れているかもしれません。

🌿 我慢強い人こそ、気をつけて 🌿

つい自分のことを後回しにしてしまう人は、ちょっと注意が必要です。

もし、あなたの大切な家族や友人が同じ不調を抱えていたら、どうしますか? 「病院に行ったほうがいいよ!」とすすめるのではないでしょうか? ぜひその気持ちを、自分にも向けてみてください。

無理ない範囲で 焦らずゆっくりで大丈夫ですので。無理なく、心地よく、「養いながら」生きていきましょう。
ここに書いたことはただのヒントです。実際には、とも治療室では 患者さんお一人お一人の体質、症状、生活、考え方などににあわせて 個別にお手伝いしています。