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秋のホリスティック薬膳。

秋のからだをやさしく整える薬膳の知恵|潤いを補い、余分な湿をさばく

空の色、風のにおいが少しずつ秋めいてきました。季節が深まる前に「肺」をいたわり、夏に消耗した気と潤いを補っておくと、その後がぐっと楽になります。

秋は「肺」をいたわる季節

東洋医学でいう「肺」は、うるおいを好み、乾燥を嫌います。乾きが強いと、空咳・痰が少ない咳・喉や皮膚の乾燥・息切れ・胸苦しさなどが出やすく、感情面では物悲しさや寂しさが募ることも。
中秋〜晩秋にかけては、からだに「きれいな潤い」を増やすことが要点です。

潤いを補う食材(肺をうるおす)

梨/りんご/ぶどう/柿/れんこん/白きくらげ/百合根(ゆりね)/豆腐/はちみつ/ねぎの白い部分/春菊(適量)など。
とくに梨×れんこんは咽喉の乾燥に頼れる組み合わせです。

かんたん実践メモ

  • 梨のコンポート(常温〜ぬるめ):砂糖少々+生姜ひとかけで温性を足す。
  • れんこんのすり流し汁:だし+味噌でととのえ、仕上げにすりおろしを加える。
  • 白きくらげと梨の煮もの:はちみつ少量で潤いを高める(冷やしすぎない)。

残暑の熱をおさえつつ、賢く水分補給

がぶ飲みは消化器に負担。ノンカフェインの温かい飲み物を少しずつ、また「食材の水分」を活かします。
しじみや豆腐、根菜たっぷりの味噌汁は、潤いとミネラルを同時に補ってくれます。

余分な湿(湿邪)をさばく

日本の秋口は高温多湿で、体内に濁った水が溜まりやすい時季。むくみ・だるさ・食欲低下・頭重感はサインです。次の食材で水の巡りを整えましょう。

はとむぎ/枝豆/緑豆もやし/とうもろこし(ひげも可)/冬瓜/なす/しょうが など。

かんたん実践メモ

  • はとむぎ入りご飯:白米に混ぜて炊く(食べすぎ注意)。
  • 冬瓜としょうがの澄まし:やさしい塩味で、水はけと温性を両立。
  • 枝豆の塩ゆで:ミネラル補給+余分な湿をさばく軽食に。

酸味で「収斂」し、エネルギーをとどめる

酸味には「収斂(しゅうれん)」作用があり、散りがちな気と水分を引きしめます。
栗/さつまいも/里いも/雑穀や新米などの穀類を、酸味(酢のもの・柑橘・梅・ぶどう・りんご)と合わせ、冬に向けて栄養を蓄えましょう。

  • さつまいもとりんごの重ね煮:少量の塩で甘みを引き出し、仕上げに酢をひとたらし。
  • 栗入り雑穀ご飯:噛むほどに気が満ち、体が温まります。

旬の魚で「気」を養う

サバやサンマなどの青魚は、気を補い、ビタミン・ミネラル・必須脂肪酸が豊富。
焼き魚に大根おろし+酢を添えると、消化を助けつつ収斂をプラスできます。

今週の買い物メモ(秋の養生)

  • 潤い:梨/ぶどう/柿/れんこん/白きくらげ/百合根/豆腐/はちみつ/ねぎ白/春菊
  • 湿をさばく:はとむぎ/枝豆/緑豆もやし/とうもろこし/冬瓜/しょうが/なす
  • 収斂+栄養:栗/さつまいも/里いも/雑穀(もち麦・押し麦など)/梅干し・米酢・柑橘
  • 気を養う:サバ/サンマ(大根・酢・柑橘を添える)

参考文献

中医学・薬膳は流派により所説があり、体質や季節、生活環境に応じた運用が大切です。ネット断片ではなく、手元に一冊置いて身体感覚で育てるのがおすすめです。


早乙女 孝子 の いつもの食材効能&レシピ帖―漢方の知恵を毎日の食卓に 食材338点レシピ151点

仙頭正四郎監修、現代の食卓に生かす「食物性味表]、日本中医食養学会(2006)

体調や服薬中の方は、個別にご相談ください。とも治療室では、体質と季節に合わせた養生のご提案と、はり灸アロマ治療で「潤い」と「巡り」を整えます。