とも治療室 河合リコです。
今日は、私がとても大切にしている
「大和橘(やまとたちばな)」のお話をさせてください。
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目次
希少な大和橘
大和橘は、日本に昔から自生している柑橘の原種。
千年以上前から、私たちの暮らしとともにありました。
けれど今、その姿を見かけることは
とても少なくなりました。
大和橘は、絶滅危惧種に指定されています。
そんななか、保全活動に取り組んでいる方たちが、
静かに、けれど懸命に、大切ないのちを守り続けています。
そうした方から特別にヤマトタチバナのご縁を
いただいています。
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蒸留という、植物との対話
受け取った大和橘を、
心をこめて、丁寧に 一滴一滴、蒸留しています。
蒸留とは、
植物の持つ香りや力を
そっと引き出す、静かな営み。
私は、ひとしずく、ひとしずくの水に
植物たちのいのちをいただく気持ちで
向き合っています。
植物のひとかけらも無駄にしないよう、
ヤマトタチバナの種も そっと育てています。
その発芽率は けして高いとは言えませんが、
ありがたいことに 芽吹いてくれています。
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芽吹きを受け取る方へ
とも治療室では、
この貴重な大和橘の芽吹きを、
信頼できる直接の知り合い植物仲間に
ほんのわずかお分けし続けています。
少しでもこの種が、日本にあり続けますように、と祈りを込め。
お渡しするのは、
一般的な"苗"とは違い、
土からそっと抜いた自然の芽吹きそのもの。
受け取っていただく際には、
◎保湿用のキッチンペーパー
◎持ち帰り袋等
をご持参いただきますようお願いしています。
この小さないのちを、
どうか、あなたの手で
やさしくうけとっていただけたらと思います。
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大和橘が伝えてきたこと
古くから、大和橘は
不老長寿を願う植物として親しまれ、
桃の節句にも飾られてきました。
その姿には、
「どうか、健やかに生きてほしい」
という、遠い昔からの祈りが込められています。
いま、私たちがこのいのちを受け取り、
また未来へと手渡していくこと──
それはきっと、
小さな希望を灯すことなのだとおもうのです。
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最後に
大和橘の小さな芽吹きに触れるとき、
私は、そっと教えられる気がするのです。
──種は、いつも発芽するわけではありません。
時には、何年も眠り続け、
ある日、奇跡のように目を覚まし、
ふたばを広げます。
その姿に、私は重ねます。
私たち人間もまた、
同じひとつのいのち。
いまここに、生きていること自体が
すでに奇跡なのだと──。
芽吹きは、声なき声で
そんなことを静かに教えてくれるように思います。
今日という日が、
あなたにとって、
いのちの光にあたたかく包まれる一日となりますように。
とも治療室
河合リコ