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無農薬で育てた薔薇と、一期一会の薔薇風呂体験を
とも治療室では、植物療法・植物の力を、長年にわたって真摯に探究しきました。
中でも「薔薇」は、格別な花です。
一般には、薔薇栽培には化学肥料や農薬が不可欠とされていますが──今年も、化学肥料・農薬を一切使わず、奇跡のように香り高く、美しい花を咲かせてくれました。
この小さな奇跡に、深い感謝を込めながら、早朝の朝露に濡れる花を、一輪一輪、静かに摘み取っています。
今日は、そんな薔薇たちとの対話の中で、私自身が気づかせてもらったことを、少しお話ししたいと思います。
一輪一輪、それぞれに宿る、かけがえのないいのち
無農薬で育てたフレッシュな薔薇は、市場にはほとんど出回りません。
手に入れるには、無農薬の薔薇農家さんから譲っていただくか、自ら育てるか。
あるいは、無農薬栽培をしている方からいただくかしか方法がありません。
あまりに貴重なものだからこそ──
そして、自分たちで手塩にかけた花たちがあまりに愛おしく─
私は、ひとつひとつの花を、できるかぎり丁寧に、やさしく摘み取っています。
すると、不思議なことに気づかされます。
一輪として、同じ花はないのです。
香りも、たたずまいも、色も、表情も。
それぞれに、かけがえのない「いのち」が宿っていることを、花たちが静かに教えてくれるのです。
一生に一度。贅沢な「薔薇風呂」体験はいかがでしょう
無農薬の薔薇は、ジャム、ハーブティ 薔薇ソルト チンキや蒸留水など、さまざまな使い道があります。
けれども、私がとりわけ 一般の方へ、今日、おすすめしたいのは、
フレッシュな薔薇のお風呂 です。
感性をさらに広げるためには、光を抑えた空間がおすすめ。
ろうそくのほのかな明かりや、隣室から漏れる灯りのなかで、ゆったりと湯船に身を沈めてみてください。
一人につき、一輪以上を贅沢に。
湯船に浮かべた花びらたちとともに、薔薇のいのちを、まるごと受け取るひとときを。
※なお、めしべやおしべは香りがパウダリーで浴中に回収しづらいため、取り除いてから使用されることをおすすめします。
五感で味わう、薔薇の恵み
温かなお湯に浮かんだ薔薇の花びらたちは、まるで喜んでいるかのように、ふんわりと香り立ちます。
しおれかけた花びらでさえ、湯の中でふたたび瑞々しさを取り戻すこともあります。
時間とともに、成分を放出し、香りが薄れていきます。
けれども、薔薇のエッセンスは、確かにからだにも、心にも、そっと届いています。
もし興味があれば──
花びらを一枚、そっと口に含んでみてください。
みずみずしい歯ざわりと、ほろ苦い味わい。
漂う香りとはまた違う、生きた薔薇の香味に、きっと驚かれるでしょう。
肌に触れる花びらの感触。
水に溶け合う色合い。
目でも、耳でも、鼻でも、舌でも、肌でも。
五感すべてで、この一期一会の薔薇風呂を堪能していただきたいのです。
お風呂上りには、水分補給を忘れずに
薔薇風呂を終えたら、花びらを回収してください。
お湯はほとんど汚れていないため、洗濯などにも活用可能です。
そして、お風呂上りには、たっぷりと水分補給を。
湯冷めしないように身支度を整えたら、やわらかいタオルケット等にくるまり、薔薇の余韻を味わってみてくださいね
食べものをいただくとき
そのいのちを、自分のなかに受け継ぐように感じます。
薔薇のお風呂も。
湯にほどけた薔薇のいのちが、
水を通して空気を通して
静かに 私のなかで生きはじめる──
そんなふうに、思ったりするのです。
みなさんはどんな風に味わったでしょう。
河合から薔薇を受け取った方は いつかぜひ、感想を聞かせてくださいね